2017年2月17日金曜日

『UFO手帖 創刊号』でジャック・ヴァレ特集!



仕事がちょっと一段落ついたので、通販で購入していた『UFO手帖 創刊号』(Spファイル友の会)を読む。 コーヒーを飲みながら円盤本。至福のひととき。むふふ。





『UFO手帖』はUFOに関するマニアックな同人誌を刊行してきた「Spファイル友の会」の最新作で、UFOを中心としたパラノーマル現象関係のエッセイをあつめたものだ。
記念すべき創刊号の特集テーマは「ジャック・ヴァレへのパスポート」!


そりゃ買うでしょ。
存在を知った翌日にはお金を振り込み、郵送していただきました。
事務作業が大の苦手な私にしてこの素早さ。ジャック・ヴァレに関する情報に飢えている日本人がいかに多かったか、ということの証左ではないだろうか。違うだろうか。


知らない方のために説明しておくと、ジャック・ヴァレはフランス出身のUFO研究家。スピルバーグ監督の『未知との遭遇』でフランソワ・トリュフォーが演じたフランス人UFO学者のモデルになった人物としても知られる。


現代のUFO現象とヨーロッパ古来の民間伝承との共通点に着目した代表作『マゴニアへのパスポート』(1969)は、UFOは宇宙人の乗り物であるとする有力な仮説に疑問を呈し、

「だってよお、宇宙人つったってヘンなことしてばっかじゃん。人間誘拐したりよお、水のかわりに塩味のしないパンケーキくれたりよお。それって、あれじゃね? 昔から伝わる妖精とかと一緒じゃね? あんたら知らないかもしれねえけどさ、妖精ってのは昔っから塩、使わねえんだよ」

と、主張したことで斯界に衝撃を与えた(もちろんヴァレはインテリなのでこんな語り方はしないだろうが、わたしはインテリでないのでこうとしか要約できないのである)。


(原著新装版)


「マゴニア」とは中世ヨーロッパの伝説に見られる国の名で、空飛ぶ船でやってくる人々の拠点。
この語をタイトルに用いたヴァレの意図は明らかだろう。
中世フランスにマゴニアから飛来した船と、UFOと呼ばれるものは本質的に同一なのではないか? ならばUFOが宇宙人の乗り物であるとする一見もっともらしい説(専門的にはETHと呼ばれる)の基盤は、実はもろいものなのでは?


だってそうでしょう。300年も400年も前から人類がUFOや宇宙人っぽいものと遭遇し、よく似た奇妙な体験をしているのだとしたら……。これはもう心の問題と捉えるか(ユングのスタンスだ)、あるいは宇宙人という前提を捨て去って、さらに大きな視野による仮説を構築するしかない。


こうしたヴァレの主張は、真剣にUFOの正体を解き明かそうとしている研究者からは不評だったようだが(ETHサイドの研究者からは異端者扱いされたらしい)、UFO現象の歴史的・文化的側面に着目することで後続世代の研究者&ファンに大きな影響を与えた。
わが国では稲生平太郎氏が名著『何かが空を飛んでいる』でその説を詳しく紹介し、一般に知られるようになった。(さらに言うならそれを面白おかしくエッセイ集で取りあげた、大槻ケンヂ氏の功績も忘れることはできない)


さて、前置きが長くなった。
『UFO手帖 創刊号』のジャック・ヴァレ特集ではこうしたヴァレの魅力を多角的に紹介している。


書影入りのビブリオグラフィに始まり、ヴァレの方法が生まれた背景に迫った「『マゴニアへのパスポート』の時代と方法」、『マゴニア』の論旨を分かりやすく要約した「マゴニアへのパスポート拝見」、先に紹介した中世ヨーロッパのマゴニア伝説などについて知識を得ることができる「ジャック・ヴァレを知るための5つのキーワード」、個人的にヴァレを知る著者がその理論と人生を論じた「マゴニア異聞――孤高の異端者ジャック・ヴァレ」、ヴァレの代表作を自力で翻訳してしまった花田英次郎氏による「私家版『マゴニアへのパスポート』を翻訳して」と充実の内容。


とりわけ、ヴァレの陰謀UFO小説『異星人情報局』の翻訳者でもある磯部剛喜氏の「マゴニア異聞」は、ETHを信奉するドイツ系科学者グループと、ヨーロッパの伝統的神秘学思想(薔薇十字、錬金術、グノーシス)に通じたフランス人ヴァレという対立構図を浮かびあがらせ、なんとも刺激的だった。ヴァレが自らの「コントロール仮説」に通じるものとして、P・K・ディックの『ヴァリス』を薦めていたというエピソードも興味深い。


特集以外のページも、高橋克彦作品の紹介あり、円盤漫画やホラー映画のレビューありとその手の話題が好きな人にはたまらない内容。
『何かが空を飛んでいる』を読んでヴァレへの興味を焚きつけられた人はもちろん、 最近いいUFO本が出ないなあ、とお嘆きの方にもおすすめです。
気になる方は「Spファイル友の会」で検索を。


それにしても。
『マゴニアへのパスポート』が私家版で翻訳されていたなんて!嗚呼、SNSをしていない祟りか、今日までまったく知りませんでした。残念ながら現時点ですでに在庫切れとのこと。
増刷希望!増刷希望!増刷希望!


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