2017年4月7日金曜日

君知るやホラーマスク


久しぶりの更新です。


パソコンがないのでこの一か月半、本を読む以外はひたすら書斎に設けたピラミッドの下で、座禅を組んでいたのである。
するとどうだ!
いつしか私の体はロボット掃除機ルンバの如く、床から数センチメートルの高さまで浮き上がり、くるくると回転しはじめたではないか!


エリアーデが比較宗教学の領域で、「中心のシンボリズム」 ということを提唱しているのはよく知られているが、何によらず物体の廻転を愛するという傾向のなかにも、このシンボリズムがあらわれているのではないか、と私は考えている。独楽であれ、ランプであれ、炭取であれ、迷宮であれ、およそすべての物体の廻転運動は、中心軸を抜きにしては考えられないからである。そして、さらに私の独断をつけ加えるならば、この廻転と中心軸の愛好のうちにこそ、精神の健康を保つ秘密があるにちがいない、といいたいのだ。 ――澁澤龍彦「ランプの廻転」


とりあえず澁澤龍彦を引用すると、頭がよさそうに見える……というのは私が発見した、誰にも教えたくない文章構成上の裏ワザだが、それにしてもあんまり適当なことを書いていると諸方面から叱られそうなので、このあたりにしておこう。


扠。
先日はちょっと足をのばして、葛飾柴又までお花見に行ってきたのである。
それというのも昨年、これまで半端にしか鑑賞していなかった『男はつらいよ』シリーズ全48作を最後まで見終えたからで、ちょうど倍賞千恵子演ずるさくら像が駅前に立てられたこともあり、はるばる足をのばしてきたというわけだ。


帝釈天の参道入口には、柴又ハイカラ横町という懐かしい駄菓子や玩具を取りそろえたお店があって、おなじみ「ようかいけむり」だとか、お祭りの夜店で売っていた刃がひっこむナイフだとか、そういったレトロ商品がところせましと並んでいるのだが、今回そこでこんなものを見つけた。




ホラーマスク、である。
リンゴ味の「呪われた紅いミンツ」に、おまけとして恐怖マスクが封入されているらしい。これはホラーファンとして見逃すわけにはいかない。さっそくおひとつ購入してみた。
パッケージには「紅いミンツ、喰うとリンゴの味がした…」の文字。おどろおどろしい書体だが、考えてみればごく当たり前のことを述べているだけで、最近話題の「あたりまえポエム」のようでもある。


開けてみると中はこんな感じ。
薄桃色のミンツ菓子と、紙製の恐怖マスク、それを留めるための輪ゴムが2本入っている。




わが家の娘(ぺぺちゃん・280歳)に被せてみたらこうなった。どことなくシュルレアリスムの仮面のようでもある。ちなみに昨晩この状態にしたことをころっと忘れていて、いま背後にこいつが立っていたんで、心臓が止まるほどビックリしました……。

 


今回はゴリラめいた凶悪類人猿のマスクだったが、他にもいくつか種類があるのかしらん。今後も見かけたら買ってみたいと思う。紅いミンツはなるほど、たしかにリンゴの味がしました。


さて、かように、性における死の透視術がエロティシズムであれば、死の密度の異常に高まる革命と反革命の恐怖時代が、歴史のエロティックな時期であるという、先に述べたわたしの説も、あながち牽強付会ではないことが分ってもらえるであろう。 ――澁澤龍彦「テロオルについて」


分ってもらえるであろう。というわけで、また次回。


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