2017年10月2日月曜日

怪老人、中野杉並を跳梁す


近年は年齢とともに記憶力がめっきり衰えてきまして、今朝あったことも夕には思い出せない始末。これで書評家なぞ務まるのかしらん、と空恐ろしくなったりもしますが、そこはちびっこ空手初段を誇る怪老人。気合いでカバーするしかありますまい。


で。
今朝あったことも夕に忘れるくらいなので、昨日一昨日のことなど去年も同じです。忘れぬうちに日記を付けておきませう。


■怪老人、快獣に遭うこと。
9月最後の土曜日、快獣ブースカに遭うべく、一家で中野ブロードウェイへと出かけてきました。円谷プロが生んだ愛すべきキャラクターが、ブロードウェイの異色アパレルショップ「墓場の画廊」にやってくると知ったのは10日ほど前のこと。3歳になったばかりの息子・雪男(仮)は快獣ブースカの大ファンで、母親のDVDボックスをねだってよく再生してもらっています(ブースカが大ちゃんのために遊園地を作るエピソードがお気に入り)。これは往かねばなるまいよ、と朝から出かけてきたわけです。




正午過ぎ、「墓場の画廊」に着。すでに整理券とブースカグッズを求める人々でなかなかの混雑でしたが、無事に整理券をゲット。これがなければブースカと写真撮影ができないのです。
時間までブロードウェイ内を散策。みるみる特撮偏差値をあげてゆく息子に若干引き気味になりながら、おもちゃ屋をめぐります。14時からついに撮影会がスタート。整理番号順にシャッターを下ろした「墓場の画廊」店内に呼ばれまして、そこで愛らしいブースカ(意外にでかかった)の着ぐるみに対面! わたしも並んで写真を撮ってもらいました。その写真を見た人によれば、平素はムッと険しいわたしの表情も、何時になくほころんでいたということです。バラサ、バラサ。


(墓場の画廊にはブースカグッズがいっぱい)


■怪老人、夜道で経を誦すること。
10月初日の日曜日には、読まなくなった本を売るべく西荻窪の「古書音羽館」へ。先日のデニス・ホイートリー購入をきっかけに始めた書庫整理。海外文学などを中心に数十冊、処分することにしました。
スクーターの荷台に本をがっちりくくりつけ(荷崩れしたら悲惨)一路、西荻を目指します。国分寺の我が家から西荻までは、五日市街道を走って1時間ほど。気晴らしにはちょうどよい距離なのです。


本を査定してもらっている間、駅周辺の商店街をぶらぶら。
駅北口すぐの食料品店「喜久屋」で安くて美味しいノンオイルのレーズンを、和菓子の「喜多屋」では豆大福とどら焼きを購入。西荻は子供ができるまで住んでいた街で、楽しかった想い出がたくさんあり、いまだにこうして理由をつけて散歩に来てしまうのです。本の買取をいつも音羽館にお願いしてしまうのも(査定額がいいというのもあるけれど)、西荻に来ること自体が楽しいからなのですね。
独特のムードがある南口アーケードを歩いていたら、西荻名物の「ピンクの象」がすっかり新しくなっているのを発見。以前はゆるさ全開の張りぼて人形だったのに、こんなに立派になられていたとは……。




夕方には査定完了の連絡をいただき音羽館へ。受けとったお金を元手に、さっそく店内の棚を物色していたら、若い男性店員さんに声をかけられました。
「あのー、どうしてわざわざ国分寺から売りにこられるんでしょうか?」
店員さんが疑問に思うのはもっとも。国分寺にも古本屋さんはあるのに、紙袋2つ分の重たい荷物をはるばる運んでくる人物は、たしかに怪しいかもしれません。突然人から話しかけられることがあまりないので、かなりシドロモドロになりつつも、右のような事情を説明しました。納得してもらえたかしら。


往きは渋滞していた五日市街道も、日が落ちるとスムーズに流れます。運転しているとつい大声で歌いたくなるのが人情。当初は歌謡曲など歌っておりましたが、そのうち「般若心経」が案外、バイクのエンジン音とマッチするということに気づいて、玉川上水沿いの夜道を高らかに読経しながら走り抜けました。お坊さんの幽霊になったような気がして、楽しかったです。


というわけで。
一年でもっとも美しく、心躍る10月がスタートしたのでした。他の11箇月はともかく、この時期だけは元気です。


 (喜多屋のどら焼きは初。生地がふわふわ、ウマい!)

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